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グルーヴ感を反映する脳波についてのPreprintをPsyArxivにアップしました!

  • 執筆者の写真: Kentaro Ono
    Kentaro Ono
  • 6月8日
  • 読了時間: 2分

音楽を聴いているとき、知らず知らずのうちに身体がリズムに合わせて動いたりすることはよくありますが、なぜでしょうか?リズムに合わせて身体を動かしたくなる感覚のことをグルーヴ感と呼びますが、リズムとグルーヴ感のあいだには、単純すぎたり複雑すぎたりするリズムよりも、ほどよい複雑さを持つリズムの方が強くグルーヴを感じる、という逆U字の関係があることが知られています。また、グルーヴを感じているときの脳活動をfMRIで測定した研究からは、運動の計画に関わる領域(premotor cortexやsupplementary motor area [SMA] など)と、いわゆる報酬系と呼ばれる領域(nucleus accumbensやputamen, caudateなど)がグルーヴ感の強さと相関していることが示されています。


しかし、音楽を聴いているときにグルーヴ感がどのタイミングで発生するのか、その時間的なダイナミクスはまだわかっていませんでした。私たちは時間的な解像度が高い脳波を用いて、様々な強さのグルーヴ感を生じさせるリズムパターンを聴いているときの脳活動を測定し、前頭部で見られるシータ波帯域の脳波がグルーヴ感の強さと対応していることを発見しました。そして、リズムパターンを4分割してそれぞれの区間におけるシータ波とグルーヴ感の強さの相関を見たところ、後半のところで有意な相関が見られました。また、脳のどの部位にその相関が見られるのかを推定すると、SMAとmid-cingulate cortex [MCC] に発生源が示されました。


先に述べたようにSMAは運動の計画に関連しているので、動きたくなる感覚というのがSMA由来であるということは言えそうです。また、MCCは運動のモニタリングや予測誤差の検出、報酬系との関わりなどを含む重要な部位で、こうした機能が複雑に絡み合ってグルーヴ感が生じていることが示唆されます。

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